カメレオン王子と一人ぼっちの小鳥ちゃん


「琴梨、会いたかった!」


「翼先輩!」


「あ……あの……」


「読み聞かせ部、やめちゃったんだって?」


「は……はい。ごめんなさい……」


「琴梨は、後悔してないの?」


「……はい。」


「琴梨が自分で決めたことなら、それで良い。

 でもね、
 何かあったら、私を頼って。

 琴梨のためなら、
 どんな時でも飛んできてあげるから。」


「授業中でも……ですか?」


「当たり前じゃない。

 あ、センター試験の日はやめてよ。
 私の進路がかかってるんだから。」


「翼先輩……大好き。」


「もう、琴梨はかわいすぎなの。

 前髪切って、
 余計かわいくなってるし。
 
 じゃあ私、クラスに戻るね。」


 翼先輩は、
 琴梨の頭を優しくポンポンすると、
 自分のクラスへ戻って行った。


 翼先輩が教室を出る前、
 先輩は悲しい瞳で俺を見た。


 俺に、
 何かを訴えているような瞳だった。


 でも俺には、
 それがなんだったのか……

 わからなかった……