☆礼音side☆
美容院で琴梨が髪を切った日から、
もう1週間。
俺は琴梨と一言も話していない。
カメレオンの俺にさえなれば、
挨拶くらいできると思った。
でも、琴梨を一目見ると、
どうしても自分が情けなくなる。
琴梨のために、
こいつをかわいくしてやろうと思った。
琴梨がかわいくなれば、
いろんなことに自信がつくと思った。
そして、
独りぼっちが好きと強がる琴梨に、
友達ができるきっかけを作ってやれると思った。
でもそれは、
ただの自己満足。
髪を切った琴梨が俺に言ったのは
『ありがとう』ではなかった。
『私は……礼音くんのこと
なんとも思って……いないから……』
『もう……話しかけないで。
私……地味子に……戻らせてください。』
琴梨に笑ってもらいたくて、
琴梨に俺を好きになってもらいたくて、
俺なりに頑張ったつもりだけど……
ただ、琴梨を傷つけただけだった……
嫌われただけだった……
最近は、
同じクラスの城山美咲が、
琴梨と仲良くしてくれている。
教室でも、山城と話しているときの琴梨は、
楽しそうに笑うようになった。
すっげー安心したし、嬉しくも思う。
でも……
あいつを笑顔にできるのが、
俺じゃないって事実が俺の胸に突き刺さる。
そんなことを考えているとき
「失礼しまーす。」
誰かがズカズカと教室に入ってきたかと思うと、
座っている琴梨にガバッと抱き着いた。



