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それから美咲ちゃんと、
一緒にお昼を食べるようになった。
休み時間も私の所に来てくれて、
芸能人で誰が好きとか、
この雑誌のファッションが好きとか、
いろいろ話してくれる。
私は芸能人とか興味がないって言っても、
そんな私を認めてくれる。
「私が好きなことと、
琴梨が好きなことが違って当たり前でしょ。
違うから面白いのよ。人間は。」
そんなことを言ってくれる美咲ちゃんが、
私は大好きだ。
美咲ちゃんと一緒にお昼を食べるようになって、
1週間が過ぎた。
同じクラスにいる礼音くんとは、
あの日から挨拶もしていない。
お互いに、目も合わせていない。
でも、私の耳が、
礼音くんの声に反応してしまう。
「今度、
礼音くんの家に遊びに行きたい!」
「私も、私も。」
「バイトばっかりで
暇な日があんまりないけど……
バイトのシフトを見て、
空いてる日があったらね。」
「やった~」
「楽しみだね。」
礼音くんは礼音くんで、
もう私のことなんて
興味がなくなったみたい。
そりゃそうだよね。
読み聞かせ会の時に、励ましてくれて。
私のために、
髪のカットを陽介さんに頼んでくれて。
不審者から私を助けてくれたのに、
ひどいことを言っちゃったんだもんね。
あの時に……
不審者に路地に連れ込まれそうになって
助けてくれた時に、
『ありがとう』って素直に言えていたら……
今でも礼音くんの傍に……
いられたのかな……
私……
礼音君のことが……
好き……
その思いを心の奥の奥に隠したまま、
私は日々を過ごしていった。



