カメレオン王子と一人ぼっちの小鳥ちゃん


◇◇◇

 それから美咲ちゃんと、
 一緒にお昼を食べるようになった。


 休み時間も私の所に来てくれて、
 芸能人で誰が好きとか、
 この雑誌のファッションが好きとか、
 いろいろ話してくれる。


 私は芸能人とか興味がないって言っても、
 そんな私を認めてくれる。


「私が好きなことと、
 琴梨が好きなことが違って当たり前でしょ。

 違うから面白いのよ。人間は。」


 そんなことを言ってくれる美咲ちゃんが、
 私は大好きだ。



 美咲ちゃんと一緒にお昼を食べるようになって、
 1週間が過ぎた。


 同じクラスにいる礼音くんとは、
 あの日から挨拶もしていない。

 お互いに、目も合わせていない。


 でも、私の耳が、
 礼音くんの声に反応してしまう。


「今度、
 礼音くんの家に遊びに行きたい!」


「私も、私も。」


「バイトばっかりで
 暇な日があんまりないけど……

 バイトのシフトを見て、
 空いてる日があったらね。」


「やった~」


「楽しみだね。」


 礼音くんは礼音くんで、
 もう私のことなんて
 興味がなくなったみたい。


 そりゃそうだよね。

 
 読み聞かせ会の時に、励ましてくれて。

 私のために、
 髪のカットを陽介さんに頼んでくれて。

 不審者から私を助けてくれたのに、
 ひどいことを言っちゃったんだもんね。


 あの時に……


 不審者に路地に連れ込まれそうになって
 助けてくれた時に、
 『ありがとう』って素直に言えていたら……

 今でも礼音くんの傍に……
 いられたのかな……


 私……

 礼音君のことが……

 好き……



 その思いを心の奥の奥に隠したまま、
 私は日々を過ごしていった。