カメレオン王子と一人ぼっちの小鳥ちゃん


「八夜さん、ねえ、八夜さん。」


 このかわいい声って?

 
 顔を上げると、
 クラス1の美少女の城山美咲さんが、
 ニコニコ微笑んでいた。


「八夜さんって、髪切ったよね?」


「え?う……うん。」


 私はうつむきながら答えた。


「前髪、今くらい短い方が良いよ。
 うん。絶対かわいい。」


 天使みたいに、
 優しく微笑んだ城山さん。

 
 クラスの女子に話しかけられたのなんて
 初めてで、
 涙が出そうになるくらい嬉しい。


 勇気を出して、私も口を開いた。


「ありがとう……嬉しい……」


「八夜さん、これからお昼は、
 一緒にお弁当を食べない?」


「え?」


「いつも一緒に食べていた
 隣のクラスの奈々ちゃんね、
 彼氏ができたからって、
 一緒に食べてくれなくなっちゃったの。

 ひどいでしょ!」


 口をプーっと尖らせる山城さん。

 かわいくて、つい笑ってしまった。


「八夜さんが笑うところ、初めて見た。」


「あ……ごめんなさい。」


「なんで謝るの?
 もっと笑っていればいいのに。 

 八夜さんの笑顔、私好きだよ。」


 私の笑顔を……

 好きと言ってくれた。


 
 私は勇気を出して、
 山城さんに言ってみた。


「山城さんのこと……
 美咲さんって呼んでもいいかな?」


「ダメ!」


 そうだよね……


 私なんかが、
 なれなれしく呼んじゃダメだよね……


「『さん』づけなんてダメ!」


「え?」


「美咲って呼び捨てにしてよ。」


「呼び捨ては……ちょっと……

 じゃあ、美咲……ちゃん……は?」


「うん。いいね。
 じゃあ私は、琴梨って呼んでもいい?」


「うん。」


 私は高校で初めて、
 女友達と言うものができました。