カメレオン王子と一人ぼっちの小鳥ちゃん


「礼音くん……

 コンタクトで来いって……なに?

 髪は縛らずに来いって……なに?

 この分厚いレンズのメガネをかけているのも
 私だし…

 ダサい髪型も私自身なの……

 開都くんも……
 私が前髪を切った時言ったよね……

 『すごく可愛い』って……

 『こんなに大きな目をしているのに、
  今まで隠していたのがもったいない』って……

 じゃあ……
 今までの髪型に戻ったら……どうなの?

 明日から……また地味子に戻ったら……
 どうなの?」


「琴梨、言ってる意味がよくわかんねえ。」


「俺だって、礼音先輩だって、
 髪を切る前から琴梨先輩のことが
 好きなんですよ。

 切った今の髪の方が、
 もっと好きって言っただけじゃないですか?」


「じゃあここで……
 返事をさせてください……

 私は……

 礼音くんのことも……

 開都くんのことも……

 なんとも思って……いないから……」


「それって……」



「もう……

 話しかけてこないで……

 私……

 地味子に……

 戻らせてください。」



「琴梨先輩……
 読み聞かせ部は?」


「開都くんごめん……
 当分……行けない……」



「は?
 なんだよそれ!

 俺のことは100歩譲って振ってもいい。

 でもさ、
 読み聞かせ部を休むってどうなんだよ?」


「……」


「あ、そ。

 俺さ、ハチドリみたいな奴を、
 好きになってたつもりだったけど、
 勘違いしてたみたい。

 無理やり、髪切って悪かったな。

 じゃあな、琴梨。」


 そう言うと、
 礼音くんは私を見ないで行ってしまった。


「琴梨先輩……
 俺、琴梨先輩を傷つけるようなことしました?」


「読み聞かせ会……

 来てくれなかった……」



「そうですか……
 やっぱり根に持っていたんですね。

 読み聞かせ部、今日で解散にしましょう。

 俺たち二人で読み聞かせをしても、
 子供たちを悲しませるだけそうですしね。

 俺、明日顧問の先生に言っておきますから。」


「う……うん。」


「琴梨先輩、さようなら。」


 開都くんも……

 いなくなってしまった……


 二人のこと……
 
 傷つけちゃったな……

 
 クラスでも独りぼっちで、
 学校に友達なんていなかった私に、
 気軽に話しかけてくれた二人。


 二人のおかげで、
 学校に行くのも少しは楽しくなった。


 友達を作ってみようかな?とか
 恋をしてみたいなとも思わせてくれた。


 それなのに……


 あの事件から5年も経っているのに、
 悪魔は私の耳元でささやき続けるんだ。



 『お前は一生
  幸せになることは許されない』


 『お前の罪は
  一生消えない』って