カメレオン王子と一人ぼっちの小鳥ちゃん


「助けてくれて……

 ありがとう……」


「琴梨、ごめん。
 怖い思いさせて本当にごめん。」


「琴梨先輩がもうこんな思いはしないように、
 これから毎日、
 俺が帰りに一緒に帰ります。」


「は?
 それは開都が琴梨と二人でいたいからだろ?
 却下!」


「じゃあ、
 礼音先輩が送ってあげられるんですか?

 あの美容院でバイトしてるっていうし、
 読み聞かせ部の後に送ってあげるのは、
 無理ですよね。」


「このアルパカ野郎!
 本当に生意気。」


「口の悪さは、
 カメレオン先輩には負けますよ。」



 普段なら、
 フフフと笑える二人の会話だけど、
 私の体は、
 笑うという行為を忘れてしまったようだ。


 頭はぼーっとして、
 顔の筋肉は動くことを拒否しているように
 固まっている。



「琴梨先輩、帰りましょう。

 明日の朝、俺、
 マンションの前で待ってますね。
 一緒に学校に行きましょう。」


「開都くん……

 待っていなくていいよ。」


「だろ?
 琴梨は俺が迎えに行ってやるから。

 な、琴梨。

 明日はコンタクトで、
 髪は縛らず来いよ。」



「だから……
 待ってなくて良いってば……」


「遠慮するなって。」


「遠慮なんかしてないから!!」




 私の叫び声に、
 固まっている二人。


 私の口から発する言葉は、
 止まってはくれない。