礼音くんと開都くんは、
美容院を出てから、
ずっと言い合いをしている。
私が3メートルくらい
後ろを歩いていることも
気づいていないみたい。
でも、その方が良い。
礼音くんと開都くんへの
街ゆく女子の視線が半端ない。
2人に声を掛けようか悩んで、
諦めちゃっている女子たちもちらほら。
そのイケメン二人の中に私がいたら、
きっとみんなから思われてしまうだろう……
イケメン二人に全く釣り合っていない、
あの女は誰って?
いつもなら、
長い前髪で人の視線を遮って、
自分を守ってきた。
でももう、
その鎧も持っていない。
なるべく、
礼音くんと開都くんから離れて歩こう……
そう思って、5メートルほど後ろを、
トボトボ背中を丸めて歩いていると、
知らない男性に声を掛けられた。
「君、何かあった?」
「え?」
「なんか悲しそうな顔をしてたからさ。
話聞いてあげるから、あっちに行こうか。」
20代前半くらいのその男の人は、
私の手首を無理やりつかんで、
店と店の間の細い路地に
私を引きずり込んでいく。
優しい笑顔を私に向けているが、
目が笑っていない。
抵抗したいのに、
その男の目が怖くて力が入らない。
助けてと叫びたいのに、
あまりの恐怖に声さえも出てくれない。
あの時と……
一緒だ……



