カメレオン王子と一人ぼっちの小鳥ちゃん


☆琴梨side☆


 今私は、礼音くんと開都くんに
 家まで送ってもらっている。


 私の髪を切るって礼音くんに言われた時には、
 切ってもらいたくないと思った。


 教室で目立たないように、
 この髪型にしていたから。
 

 噂や悪口を言われるのが怖くて、
 それなら友達なんていらないって思っているし。


 見下されたり、笑われたり、
 そんな視線を感じたくなくて、
 メガネと長い前髪で、
 見たくない物はみないようにしている。


 でも、カットの前に礼音くんに言われた言葉が、
 私の心に突き刺さった。



「お前、
 可愛くなりたいって思っているんだろ?」



 思っていないよ。

 私なんかが、
 可愛くなれるわけもないでしょ。


 オシャレなんかしなくても、
 友達なんかいなくても、
 一人で平気なんだから私は。

 そう思った。



 でも、
 じわじわと心の奥に閉じ込めてあった思いが、
 にじみ出てきてしまった。



 本当は……一人は寂しい。


 本当は……友達と笑いたい。


 本当は……可愛くなりたい


 
 傷つかないための防御として、
 一人でいることを選んでいたのに……


 自分の本当の思いに気づかされたとたん、
 願望が風船のように
 膨らみだしてしまった。


 だから私は、
 髪を切ってもらうことにした。


 陽介さんにカットとヘアアレンジをしてもらい、
 正直びっくりした。


 ぶ厚いレンズのメガネは掛けたままなのに、
 こんなに変われるなんて。


 これなら、
 大嫌いな自分の顔も、
 少しだけ好きになれるかもしれない。


 友達に声を掛ける勇気が、
 出せるかもしれない。


 変われるチャンスをくれた礼音くんに、
 きちんとお礼を言わなきゃな。


 私は歩きながら、
 そんなことを考えていた。