焼けた肉を俺の皿に置く、祐太郎。

「何で、カッチャンに告白するの?」

「あのなあ、悩むくらいなら告白してすっきりしろよ。別に一度振ったっていいじゃないか。どうせ、駄目なんだから」

「えー」

不満げに声を漏らすと、

「シン。おまえはもう失うものなんて、一つもないだろう? 何を恐れてるんだ?」

「恐れてなんかないよ」

「じゃあ、好きだって告白しろよ。もう、うじうじ悩むくらいなら、告白するか筋トレしろよ」

無茶苦茶な祐太郎の言葉に黙るしかなかった。

「シン。知ってるか、お前みたいなアラフォーの独身が夜道歩いていたら、捕まるんだぜ」

「え!!」

大きな声を出して驚くと、祐太郎はゲラゲラと笑った。

「冗談に決まってんだろ!」

「何だよ、ビックリするじゃん」

口を尖らせて。

せっかく祐太郎が焼いてくれた肉なのだからと。

皿に置かれた肉をほおばる。

「俺は、お前が羨ましいけどな…」

「へ?」

急に祐太郎がしんみりしだすので。

全く、今日の祐太郎の感情が見えてこない。

「シン。大丈夫だよ。過去は過去。今は今。感情を大事にしろよ」

「うん…」

祐太郎の「大丈夫」という言葉は、心強いと思った。

祐太郎と話していて。

やっぱりなと思った。

俺は、感情をごまかして生きていたのか。

「わからない」と思っていればそれで済むと思ってた。

違うってわかった。