「どれ」


スタートラインをきる柚季が見える。


「おー。早え。初めて見た。かっこええ」


「ていうか、あいつスタイル良くね」


走り終えた柚季が、


ちょうどこちらに背中をむけて、


膝に手をついている。


短パンにヒップのラインがくっきり浮かぶ。



「足長っ」


「アイツああいう無防備なとこあるよな。


見られてるとか絶対思ってねえんじゃね」



「ケツがめっちゃいい。この瞬間、写真撮りてえ」


バンっ


五十嵐が乱暴に ベランダのドアを開けた



「おー。何? 五十嵐」


「びくった」




「早く帰ろうぜ」



不機嫌そうに五十嵐が言った。