「五十嵐。何やってんだよ」



佐々木が首に巻いたタオルで顔を拭きながら、


声をかける。


二階の踊り場から突き出しているベランダ。


肩まで手すりに寄りかかり、五十嵐が外を見ている。


汗をかいた練習着に気持ちばかりの風が吹く。


「んー。別に」


そう言いながら、五十嵐は動かない。


「早く着替えて帰ろうぜ。腹減ったー」


そう言いながら、佐々木もベランダに出てくる。


バスケ部のみんなも足をとめる。


「何見てんの」


「あちー」


みんなベランダにでてきた。


小さいベランダはあっという間に狭くなる。



グランドでは、野球部や陸上部が汗を流している。


晴天の中、砂ぼこりが舞う。


頭上から楽器の音が響いた。