そんな柚季に焦れたように五十嵐が言った。


「あれじゃね。


お前免疫がねえから、


この前のことを異常に意識しすぎてるだけで、


慣れれば何でもなくなるんじゃね」


ちょっと笑いを含んだ五十嵐の声。



そうなの?



これは恋じゃないの?




キャパオーバーでパニクってるだけ?



五十嵐だからじゃないの?



慣れるって。



「どうやって?」



五十嵐の手が動く。



ごつくて大きい。



伏せ気味の視線がかっこよくて、見とれてしまう。



下駄箱と五十嵐に挟まれて



近くなっていく五十嵐の瞳から



目がそらせなくて。



耳の奥で心臓の音が聞こえるのに。



避けない自分がいる。




このまま本当にキスしちゃうの?