「…や…嫌っ…!」
一弘以外に触られたくない…!
ギュッと目を瞑る。
パシンっと何かをはたく音がした。
「おいテメェ…なに俺の女に手ェ出そうとしてんだ?」
見ると、一弘が男子の手をはたいたようだった。
男子が「痛ぇ!」と涙目になっている。
「んだよ、ちょっとふざけてただけじゃんっ…!?」
「それで一々 コイツに触られんのは我慢ならねぇんだよ…あっち行け」
威圧のある一弘の雰囲気に、男子が怖じ気づく。
「わ、分かったよ…もうやんねーよ!」
「ふん…」
一弘が私に視線を移す。
「…大丈夫か」
「…あ、りがとう…大丈夫…」
わけあって、一弘以外の男子が苦手な私。
それを知ってて一弘は守ってくれる。
私はギュッと一弘を抱き締めた。
「わ、私を温めていいのも、一弘だけ…だからね」
そう言うと、一弘は優しく笑った。
「ふはっ…んだよそれ…やっぱ面白い奴だな」
「………」
「だんまりかよ、あかりチャン?」
「うるさいっ!」
寒い教室の中、私達だけが暑いくらいのポカポカした空気をまとっていた。