「…羅沙。よからぬ事を考えてるだろ」
「へっ?え?あ…」
ぎくっとする。
「その顔。羅沙が眉間にシワを寄せてボーッとしてる時はだいたいよくない事考えてる時だから」
「そうですか…」
無意識にシワを寄せていた自分の眉間をすりすりと触る。
何でわかるんでしょうか、と思うとたまらなく恥ずかしくなってきた。
「年寄り連中は、自分の連れてきた側妃が次の王を産んだら大きい顔出来るわけだろ?その権力抗争の始まりだったというか……って、羅沙、聞いてる?」
「…あ、あのっ。ええ」
「………」
竜王様にじっと見つめられる。
しかし、それは優しい視線のように見えて、実はジトっとした疑惑の視線だった。
あわわわ。理解していないことがバレてるんじゃ!
だが、ジトっと見られた後、竜王様は何故か深いため息をついた。
ひょっとして、おばかうんざりのため息…!ガーン!
「…ダメだな。言い訳がましいし、もっとストレートに言わないと」
そんな独り言をボソッと呟いて、咳払いをしている。



