自分の手で始末をつけられないなんて、やはりまだまだ修行が必要だ。

もっと、強く。その為には、神術を覚えないと。早く摩睺羅伽王領に行かないと…!

当初の目的をふと思い出すと、気持ちが焦る。



「竜王様、すみません…」



いつまでも横抱きにされているワケにはいかないので、一言詫びて断ってから、その膝を降りようとした。

が…。



(えっ…)



片足降ろしたところで、体をグッと引き寄せられ、降ろした足が宙に浮いてしまった。

腕の中へと逆戻り。



「…竜王様?」

「ん?」

「あの、降りてもいいですか…」

「………」



竜王様は無言で私に笑い掛けているのだけど。

…目は笑っておらず、その笑みが穏やかに感じられないのは、何故?!

なぜ、こんなにも恐ろしく感じてしまうのだろう!



今度は違う意味であわあわとしてしまう。

そこへまた竜王様は、その笑みを向けたまま、更に私に顔を近付けてきて、思わず悲鳴をあげそうになった。

近い!顔近い!眼福なんだけど、何か恐い!

キュンとしちゃうけど、恐ろしい!