天帝に登城命令を出させるぐらいの勢いだ。双方必死なんだろう。
まず、喰ってかかってきたのは広目天様だ。
『数々の令嬢と浮世を流したおまえが、夜叉の姫君と婚約だぁ?…緊那羅王の蓮華姫と婚約するのではなかったのか!』
『………』
おいおい。浮世に全く覚えがないけど。人の噂ってやつは盛り盛りで恐ろしいな。
それに、蓮華と婚約?俺達は幼馴染で仲良しなだけ。
それに、あんな強気で過激なワガママお嬢様が正妃?もし妻となったら贅沢の限りを尽くされ、ワガママ、小言に暴挙の毎日…それは地獄だ。こっちからお断りだよ。
『…広目天様、噂は噂で御座います。現実として一族間の繋がりを重視するべく、族長間協議の上、このような結果に至ったのですが』
『一族間の繋がり?…婚姻が無くとも仲良しのくせに!この若造が!何を企んである!』
『…お言葉ですが、広目天様。その言葉そっくりお返し致します』
『は?何だと?!』
『広目天様こそ何をお考えですか?何故、羅沙を三男の万里様に充てがおうとお考えですか?歳も離れているのに、それに夜叉族との繋がりで広目天様にどのような利益が得られましょうか?万里様、夜叉王領に婿入り出来ますか?じゃがいもの品種改良出来ますか?!……族配下でもなしに!専門家でもなしに!』



