羅沙の輿入れ直後。
早々に、善見城から登城命令が届く。
俺と、夜叉王宛に。
想定の範囲内だ。
『やはりな。あちらさんが黙っているワケがない』
夜叉王の無表情な顔には『うんざり』『めんどくせー』という文字が浮かび上がっている。
あなた、善見城来るの嫌だもんね。
理由は重々承知してますが。
『想定の範囲内だ。俺に任せろ』
『言い訳でも考えてきたのか』
『まさか、考えてないワケないだろ』
二人でぶつくさと会話を交わしながら、天帝の待っている善見城の謁見の間へと身を進める。
そこには…。
『来たか!この愚か者共め!コソコソコソコソ…言い訳でも考えてきたのか!』
『竜王!秘密裏にこの儂を謀りおって!気でも触れたか!』
うわー。もちろん、お怒り。
舎脂様と朦朧オヤジ…失礼、広目天様。
そして。
『竜王、夜叉王、ごめんね!あまりにも二人が怒ってるもんだから…!』
二人に押されまくって、隅に追いやられている天帝…ご愁傷様です。
というか、気でも触れたのはそちらの御二方じゃないですか?と、俺は言いたい。



