…何も出来てないじゃないか。

無力だ、俺は。



自問自答を繰り返すし、自分への嫌悪感が増す日々。

自分が憎くて、涙すら出て来やしない。

…だが、追い討ちをかけるように、父上に『一年後、王位を譲り渡す』と告げられる。母上が病みすぎてもう表に出られないので、療養のため、静かな離宮に住まいを移すらしい。

こんな無力な俺が王?ふざけてる。

自分の無力さ、自分に対する苛立ち。加えて王位へのプレッシャーで自暴自棄になりかけていた。



そして、兄の死、魔族討伐失敗で混沌としている竜宮、自王領にいるのが段々と嫌になる。

半ば現実逃避するように、友人兄弟のいる夜叉王領に入り浸っていた時期があった。

柄にもなく、鍬持って畑耕してさ。

本当に何やってんだか。



誰のもとにも…帰れない自分。



無気力空虚感を抱えたまま、淡々と過ぎる農民スローライフの日々。

日が暮れたら、飯食いに金剛鬼宮に戻る。

けど…そんな毎日でも、心が生き返る瞬間があった。



『竜樹さま、おかえりなさい!』



帰って来たら、必ずと言っていいほど。

君が、笑顔で出迎えてくれる。