飛竜の背に乗ったまま、指で印を結ぶ。
「…そこの犬!結界を張って羅沙を守れ!」
「わんわん!」
「竜王、俺は?」
「…知るか!」
大の男の面倒までいちいち見てられるか!
ーーー君を、守る。
「神竜『相殺』…【水帝轔】」
ただ、その為に…。
それから、山火事は無事に鎮火した。
『相殺』を仕掛けた際に、羅沙らを襲ってきた魔族も分解されて姿が消える。
辺りの障気が徐々に薄くなっていくのを感じていた。
「羅沙…」
羅沙は今、俺の腕の中で眠っている。呼吸も平静で、本当に寝ている様子だ。
あの時のように…瀕死の状態ではない。
この程度で済んで、本当によかった…。
更なる安堵で、肩の力が抜けていくのがわかる。
だが、それでもその身を離すことが出来なかった。
ここ最近のことを振り返って思い出すと、余計に離したくはない。
捕まえては、この腕をすり抜けられ。
追いかけたら、逃げられる。
…もう、絶対に手放せない。



