「じゃーん!そしたらこれを蒸し焼きにしてくぜー!」
(え…)
蒸し焼きにするという丸鶏の姿は、見るも無惨に哀れな姿をしており、また、気持ち後退してしまいたくなるような姿でもあった。
これ、いいの?
蒸し焼きにしたら、美味しく…なるの?!
チキンスタンドという針金の土台に、丸鶏は股を開いて腰掛けているようなカタチになっている。
…これだけでも微妙なのに。
さっき、豹牙が仕込んでいたニンニク入り缶ビールが。
刺さっている…。
丸鶏のお尻…いえいえ、内臓を処理する際に空いた穴に突っ込まれて…いえいえ、差し込まれている。…同じか。
なんとも悩ましい姿になっていた。
この悩ましい姿のまま蒸し焼きに…!
「おいおい羅沙ちゃん。何固まってんだい」
「………」
「ひょっとしてこの丸鶏の姿見て『ああぁぁん!いやらしいわ!』なんて思った?…そういうあんたがいやらしいよ。ワァオ!」
「………」
思ってることわかっちゃった?ワァオ。
私がいやらしいなんて…16年生きてるけど、何の浮いた話もないこの私にいやらしいとわ。
でも、ちょっと赤面しちゃったけどね…。



