「必要なのは半分だけさー♪…もう飲むか?」
そのビールの入ったシュワシュワと音を立てているカップを私に押し付ける。
そして、ビックリ。
いつの間にか皮を剥いていたニンニクを、缶ビールの中に次々と何かけも入れていた。
…えぇっ!
「ひ、豹牙!いくらニンニク好きだからって缶ビールに…!」
「ばかもん。この缶ビールは料理に使うんだっつーの」
「へ?」
缶ビールを使った料理?
「うひひ。今日のキャンプ飯。ビア缶チキンであーる!」
「びあかんちきん?…丸鶏は丸焼きにするんじゃないの?」
「うーん。蒸し焼きだな」
「蒸し焼き!」
この大きい丸鶏を蒸し焼き…ここで?
王宮の大きい厨房ならともかく、野外で?!
蒸し器ないのに?どうやって?
しかも缶ビール、どこで使うの?
想像のつかない未知の世界に、またしてもドキドキする。
(どんな料理なんだろ…)
火起こしを始めた豹牙の横で、悶々と考えるが。やはり、まったく想像がつかない。
そして、火起こしが済んだ後。
その全容が明らかとなった。



