婚約解消してきちゃいました?ヘタレ令嬢様のチートキャンプ!


背後から覗き込むと、その光景に一瞬ギョッとする。

豹牙の目の前には…先程の丸鶏だ。丸鶏の紐で括られた手足が解かれている。

丸鶏が座らされていて、手足バラっと解放されているその状態。しかもその肌色。なんか裸の人間みたい…。

だが、丸鶏の表面はツルツルではなく…何か、粉が振りかけられているようだ。



「丸鶏に味付け?」

「うひひひ。美味いもん食わしてやるよ」

美味いもん?…丸鶏って、丸焼きしかなくない?半身にして揚げるならともかく。

しかも、時間かかるでしょ。



「…ぽめ!…クレイジーソルト!」



豹牙が謎の言葉を叫ぶと、傍にいたぽめは「わんわんっ!」と吠える。

すると、例の如く空気がボン!と弾けた。



「わっ!何なに?」



出てきたものは、紙製の筒。

何か、読めない文字が書いてある。



「これはクレイジーソルトじゃ」

「くれいじーそると?」

「人間界の複合スパイス。調味料だよ。岩塩に胡椒、あと乾燥ニンニクとか乾燥玉ねぎにハーブ…」

「人間界の調味料!」