「ここの鶏は確かに美味しいよ。去年、視察来た時に半身揚げ食べさせてもらったの」
「うおぉぉ!半身揚げ食いてぇぇ!…というか、おまえんとこの視察羨ましいな。美味いモン食い放題だろ」
「まあね…」
店頭の丸鶏に釘付けになっている豹牙を苦笑いしながら見守る。
まさかそれ…欲しいとか?
買っちゃうとか…。
「…おい、店主!これいくら!」
…あぁ、やっぱり!
しかも偉そう!…そうだ、この人。先帝の息子。筋金入りのおぼっちゃまだ。
店主のおじさんも「え…?」とビックリしている。無理もない。こんな若い兄ちゃんがなぜ偉そうに丸鶏の値段を聞いているのか。
そして、値段を聞いた後、あっさりとお金を出して購入してしまったのである。
買っちゃった…。丸鶏一匹。
他にもニンニクやらお野菜を購入して、市場での買い物は終わった。
「クーリスマスは今年もやってくるー♪」
袋に入れた丸鶏片手に、豹牙はまたしても歌いながらご機嫌に歩く。
市場を離れ、ようやく解放されたぽめも嬉しそうにその横をトコトコと歩いていた。
くりすます?何それ?



