そうでしたか…。
さっきの『本日のキャンプ地を探す』と言うセリフから、なんとなくそう思ってはいたけど、本当にやるつもりでしたか。
…いやいや。決して嫌ではない。野営とはいえ、楽しいものであることが昨日わかったから。
むしろ、ドキドキが始まる。
今日はどんなところにテントを立て、どんな料理を食べるのか。
見たことない、感じたことないものと、お目にかかれるのか…?
ドキドキのあまり顔をニヤつかせていたが、豹牙が横で「うおぉぉ!」と叫んだので、体を震わせ真顔となってしまった。
「ち、ちょっと何。うるさいなぁもう」
「ら、羅沙!あれ!あれ見てくれ!すげぇぇ!」
豹牙が指を差した『あれ』とは、店頭にぶら下がっている丸鶏だ。
私達の顔以上の大きさで、手足を括られぶら下がっているところを見ると、すでに内臓は取り除かれて下処理された状態の一匹丸まんまの丸鶏。
「おおぉぉ!すげぇ大きい!美味そう!…美味そおぉぉ!」
豹牙は興奮のあまり、手をバタバタさせている。ぽめが勢いで「わん!」と吠えてぴょこっと顔を出したが、「こらこらこら。出てくんな」とすぐに中にしまわれている。
あの未調理の状態を美味しそうとは、どんな感覚?
ぽめが言うならわかるけど。



