「…詳しいね」
「だから。忉利天の後宮ドロドロ物語見てるったろ。それに、歴史の話になるけど、親父の前の天帝なんて、後宮に入った側室バンバン死んでんだぞ?…それが原因で親父が謀反起こして天帝になったという話だが」
「………」
豹牙は、私と同じ歳だけど、忉利天に住んでるし、身分上嫌でも大人の汚い部分が見えるんだ。
帝釈天様の謀反の話は、私達の生まれる前の話である。
話が少し逸れたけど。
朱嘉様も黎奈様も…必死だったのかな。
竜王様の寵愛を受けるために。
…だとしたら。
ただ身分が高いだけで正妃の座に座ろうとした私を、そりゃ良くない目で見るだろう。
その上、悪評背負った上に、大した見た目じゃないし、お転婆に過ごしていた私に嫌悪の目を向けるのは当然のことだ。
「羅沙は…努力したのか?」
「…え?」
不意に問いかけられた簡単な質問に。
即答出来ず、戸惑っている自分がいた。
「正妃であるための努力。…竜王の隣に並んでも恥ずかしくない自分になってるか?」
「………」
「悪いが、愚痴と逃げてばかりのおまえ、全然努力が足りてねえ。俺はそう思うけどな」



