呆れる…とは、思うけど。

…その不敵な笑みの向こうに、何かがある?

だなんて思うと、その正体を推測してワクワクする気持ちが心の隅、ホント端っこにあるのは、否めない。

さっきの人間界の話もそう。人間からのご褒美、食べ物、人間という生き物の話。

久しぶりに心躍ってワクワクした。



…そして、ワクワクがこれからも。



だが、今の竜王様の悲しい悲鳴で、辺りは人が集まってきていた。

豹牙もそれに気付いたのか、辺りをチラッと見ている。



「うーん。人が集まるとめんどくせーから早う行こうぜ?」

「え、ちょ、ああっ!」



そして、今度は豹牙が私の腕を掴む。

同時に引き寄せられると、風が巻き起こって体がフワッと浮いた。

なななな…!浮いてる!

風と共に、豹牙の足元には閃光で描かれた円が浮き出している。

これは、移動術式?

豹牙に抱き抱えられ、浮き上がったその術式の陣に乗せられている状態となっていた。

ど、どこか行くの?私、どこか連れてかれるの?!



《…暇なら、俺とキャンプの旅に行くぞ!》



本当に、今から行くの?!

野営しに…!