婚約解消してきちゃいました?ヘタレ令嬢様のチートキャンプ!


ぽめが飛び掛かって行ったのは、私ではない。竜王様の方だ。

細く小さな足を広げ、ムササビのように竜王様に飛び掛かるぽめ。

あっという間に、竜王様の顔にベタっと貼り付いた。

同時に竜王様の悲鳴が辺りに響き渡っている。



「わわわわ!こいつ、何だ!…離れろ!離れろ!」

「わんわんっ!わんっ!」

「…ぎゃああぁぁっ!…舐めるな!舐めるなぁっ!」



竜王様の顔にべったりと張り付いて視界を奪った上に、目の前の額をペロペロ舐めている。

哀れな悲鳴がますます響き渡った。

わわわわ。竜王様、ぽめに貼りつかれたあげく、おでこペロペロされてる!

悲鳴をあげながらも、竜王様はぽめを自分の顔から剥がそうと必死に手探っているが、ぽめはなかなか離れない。強い!

そうしているうちに、私を掴んでいた手は離れていた。



「…羅沙!」



拘束から解放された私の前には、豹牙が。



「行くぞ!」

「え、えっ」

「まーさーか。消しゴムコスコスパーリー夜の部に参加するとか?」

「え?…けしごむ?」

「ぶひゃひゃひゃ」