豹牙?!…急になんでここに!
突然の豹牙の登場に、私と竜王様は二人揃って呆気に取られて言葉を失う。
だが、空気が読めないのか、豹牙は「よっ」と軽く手を上げた。
よっ!って…。
「え?何なに修羅場?『ごめん、俺が悪かった!聞いてくれ!』『聞きたくありません!』って、浮気がバレて嫁に出ていかれる場面?え?…絶世の美男子、令嬢が婿にしたい殿方No. 1も嫁に逃げられるのね。ぷぷっ」
「何だと?!…おまえぇぇっ!」
「やーん。怒らないでー!あはー」
豹牙にからかわれて竜王様が声を荒げる。
竜王様の表情が一気に怒り顔になった。…怖いっ!
「ひ、豹牙、どうしたの…」
怒られて喜んでいる豹牙に問い掛ける。
まさか突然登場しちゃって、まさか冷やかしに来ただけじゃないでしょう。
…いや、この男ならあり得るか。
すると、豹牙は「お!おーおー」と、声をあげる。
「羅沙。早くしないと日が暮れちまうぞ?」
「…は?」
「日が暮れる前にテント張って、火起こしせねばならん。行くぞ?」
「え?行くって、ど、どこに?」
「キャンプ」
「…えぇっ?!」



