逃れようと腕をぶんぶん振るが、掴まれている力の方が強く、振り払えない。
「は…話は終わりです!…もう、離して下さい!」
「終わりじゃない!……俺、何も話していないよ!羅沙にはちゃんと話を聞いて欲しいんだ!」
今度は腕の引っ張り合い。
グイッと自分の方に引っ張れば、倍返しで逆に引っ張られる。
だが、その押し問答にあまりにも必死になり過ぎて、忍び寄る影には気付いてなかった。
「…嫌ですっ!離して!」
「ごめん、俺が悪かった!…聞いてくれ!」
「聞きたくありません!」
「おーい。羅沙ぁー」
「頼むから話をさせて欲しいんだ!」
「もういいんです!」
「おーいおいおいおいおいおーい」
「…うるさいぃっ!」
え。竜王様と声がハモった。
「………」
「羅沙ぁー。さっきから呼んでんじゃんかよー。何してんの」
突然の第三者の介入に、問答を止めてしまった私達。
二人揃って恐る恐るとその方向を見ると、彼は私たちを見て「いひひひー」と笑っていた。
「ひ、豹牙っ!」
「天王?!」



