こんな場所でこんな時に言うべきではないのに…言ってしまった。
後ろめたさが一瞬過ぎるも、もう言ってしまったものは仕方がない。
開き直ってしまった私は、言葉の続きを口にする。
勢いも止められない。
「初めて恋した人と結婚出来るなんて、この縁談は夢じゃないかと思いました。…でも、本当に夢だった」
「………」
「一族の繋がりのためだけの結婚なんて、私には無理ですっ…だって、貴方のことをこんなに好きになってしまった」
涙で滲んで視界がぼやぼやだ。指で目をそっと拭う。
でも、竜王様の顔を見る事が出来ない。視線は下に落とした。
「好きになった人には、私だけを見て欲しい…」
…やっぱり、私は未熟で子供だ。
そして、ワガママで。
傍にいられるだけじゃ、そんなの足りない。
「だ、だからっ…側妃に愛を向けている貴方を見るのは堪えられません…!」
一番欲しいものを得ることが出来ないのなら。
それなら、いっそのこと手放してしまった方が良い…!



