身分もある完璧な御方には、それなりの令嬢を奥様に。
こんな悪評高い曰く付きの田舎娘では…ない。
(やっぱり…)
改めて突き付けられた現実に、胸がズキンと痛む。
その痛みで泣けそう。
…でも、私の心は既に決まっていて。
ええ、天帝様の仰せの通り。
言っている意味、わかりましたよ?天帝様。
「わ、私もそう思いますっ…」
胸の痛みを堪えて、振り絞って出した声は震える。
踏ん張れ、私。私は仮にも夜叉族の娘。これ以上、お兄様に恥をかかせるな。
すると、目の前の天帝様の顔はパァッと喜びが前面に出た。
「ほ、ほんと?わ、わかってくれた?じ、じゃあ…!」
「ええ。私はこのまま夜叉王領に退がります。今後の事は気にしないで下さいませ」
「…え?」
「私も竜王様には納得のいく、愛する御方と一緒になって頂きたいと思っています」
それが、想い慕う大切な御方の幸せのため。
この、世界のため。



