「相変わらず期待通りじゃねえか」

「…え?」

「おまえのそんな青臭い考え方、嫌いじゃない。いいぞいいぞ?がはは」

「…面白がってるしょ」

「おーそうよ。おもろーだ。…その調子で後宮で大暴れしてくりゃ良かったのに?なんならお化粧お茶会ばっかの側妃と女誑し竜王の顔面にパンチ入れてから大脱走せえよ。話し合いもせず脱走しよって。うひひ」

「そんなこと出来るわけないしょ!」

「言いたいことも言わずに逃げる気か?ヘタレ」

「む、無理でしょ!」

話し合い…それは確かに。話し合わずに出て来てしまったのは、気持ち引ける。

逃げる気って…逃げたか。


「っつーか、さっき城内で見たぞ?竜王。いつも同様爽やかオーラ振り撒いてな?女殺し女誑しオーラ。がはは」

「…えっ?!」

「俺に忉利天から出るなったのも、竜王よ?小うるさい女誑しだぜー」



…そうだ。

私は重要なことを忘れていた。

本日は、天帝様の生誕記念というおめでたい行事。

天竜八部衆の要職である竜王様が参加してないわけがない…!



急に全身がザワザワッとした。

今の勢い、どこ行った?っていうぐらい頭が混乱して、しまいには挙動不審になる。



「ど、どうしようっ!竜王様が善見城にいるなんて!」

「フツー考えたらわかることじゃんよ。おまえは相変わらずあほだな」