「何度も言うけど、政略結婚ってそんなもんだぞ。ましてやでっかい古い一族の正妃なんて正直お飾りなんだからよ。羅沙の想いなんて知ったこっちゃない。政略結婚に『恋心』を介在するもんじゃねえよ」

「…だからやめるの!」

「ほう」



わかってる。わかってるよ。

これは、政略結婚。一族の繋がりのため。

私の恋愛感情なんて、正直どうでもいい。



だけど…!



「でも…好きなんだもん!好きになっちゃったんだもん!仕方ないでしょ?!」



奥様計三人を割り切れるなら、大脱走なんてしてない。

『今晩は他の人を愛しに行きます』『ああそうですか』なんて平常心で言えるほど、私は大人じゃない。

まだ未熟な、子供だ…。



「想う人には、私だけを見て欲しい。それはいけないことなの?…私にはそんなの耐えられない!」

「おまえなぁ…」

「だからやめるの!全部無しにするの!未熟だと言われても、それは譲れない!」



すると、豹牙は「ぶはははっ」と特に大きく声をあげて笑う。