先生は溺愛ダンナさま

「理人さん、待って」


あんまり彼の歩く速度が速くて、ついていくのがやっとだった。足の遅い私を気遣ってもくれないなんて、いつもの彼らしくない。


駅前の繁華街を抜けて、人気の少ないホテル街を歩いているのに気がついて、顔が熱くなる。


まさか、入るつもりなんだろうか。


彼は何も喋ってくれなくて、ちょっと怖かったけど。


それなのに、私の胸はドキドキと高鳴っている。


私って変。


理人さんが、私のせいで嫉妬して、私のせいでコントロールできないくらいに怒っているのが。


こんなに、嬉しいだなんて。