先生は溺愛ダンナさま


あれから冷静になって考えたら、私の方がずっと悪いような気がしていた。他の先生の前で彼に恥をかかせてしまったことも後悔していた。


「違うよ、すみれ、俺が君に腹がたつのは愛してるからだ」


「理人さん」


彼の表情も声色も鋭かったけれど、私は身体の中が痺れるくらい高揚した。


「酒の味がする。飲んだらダメだって言ったのに」


口元を確かめるように指でなぞられて、ドキッとした。


「ごめんなさい」


「駄目、許してあげない」


理人さんは私の手を取ったかと思ったら、早足で歩き出した。


足取りは確かで、どこかに向かっているみたいだった。