先生は溺愛ダンナさま


涙がポロポロこぼれてきて止められない。


自分が自分じゃないみたいに、冷静な思考力がぶっ飛んでいて、ただ怒りのままに行動してしまっていた。


「おいおい、桜木さん何やってんだよ。知り合いか?」


藤川さんが焦ったように追いかけてきて、私をとめようとして腕を掴まれた。


「彼女の夫です。あなたは?」


理人さんは落ちついた声で言って、私の腕を掴む藤川さんの手を振りはらう。


そうして、私の手をそっと握る。まるで落ちつかせようとするように優しく。


「ああ、僕は桜木さんの上司で藤川と言います。彼女には僕の秘書みたいな仕事をしてもらってます」


「秘書ですか?」