「うん、俺は馬鹿です」


2人の息遣いが重なり合い、ひとつに溶けあっていく。頭の芯がぼうっとするくらい彼に求められた。


女性に生まれてきた喜びを、初めて私に教えてくれたのは彼だった。


それからずっと、私には理人さんだけ。


彼の背中に腕をまわして、その優しく澄んだ瞳に写る私を見た。


「大好きだよ、先生」


「先生って呼ばないで、すみれ」


彼は苦笑いを浮かべてもう一度強く私を抱きしめる。


朝の甘くとろけるようないとなみは、結局5分では終わらなかった。