だってだって、桜木って呼ばれるたびに嬉しくてたまらないから。


私、結婚したんだな、理人さんのお嫁さんになったんだってしみじみ感動したから。


「えへへ、なんでもありません」


だけど、そんな恥ずかしいことはさすがに、言えないのだ。


「なんでもいいけど、タバコ買ってきて」


「はあ」


はいはい、またパシリなんですね。いきますけどね。いいですけどね。


「あと、スポーツ新聞と雑誌も頼むよ」


「はあ」


「キミ、まだ未成年に見えるから年齢確認できるものを持っていきなよ」


ニヤニヤしながら私を見る藤川さんは、ちょっと意地悪そうな顔をする。


「とても、旦那がいるようには見えないよな」


「そうですかね。じゃあいってきます」