《芹》



暁が芹のために時間をくれた。



ちゃんとしたデートはこれがはじめてで。



行き先を告げられず、連れてこられたのは大人な洋服が並ぶお店。



「この子よろしく」



暁が店員さんにただそう言って、あたしはフィッティングルームに入れられた。



何この人たち。



芹の服、勝手に脱がすんですけど!



ちょっと!あたしのことなんだと思ってんのー!



「少しお腹を凹ませてください」

「これ以上凹んだら芹の腹なくなるんだけど」

「髪の毛を巻きます。こちらへ」

「は?こんな高いヒール履けないし」

「不破様の希望です」



なに調教してんの?暁·····。



化粧もされネイルもされ、まるであたしはお人形さんのよう。



完成したらしい鏡に映ったあたしの顔は、今まで見たことない仕上がり·····。



美人に拍車かかってない?(自画自賛)



暁メロメロになるんじゃない?