《柚子》



お姉ちゃんが羨ましい。



内気な私と違って明るくて優しくて美人。



彼だってきっとそんなお姉ちゃんの方がいいに決まっている。



「あの3人でしょ?私は暁〈アカツキ〉派〜」

「えー断然千賀〈チカ〉くん!」

「待ってどう考えても豹〈ヒョウ〉じゃない?」



クラスの女子が窓から下の中庭を見ながら、キャッキャッしている。



この学校にはイケメン3人組がいて、この3人が好きな女の子は数知れず。



不破暁〈フワアカツキ〉は、クールで年上好き。



一条千賀〈イチジョウチカ〉は、女の子大好きプレイボーイ。



そして小田桐豹〈オダギリヒョウ〉は、なに考えてるかわからないけど·····優しい男の子。



私の、好きな人。



「柚子〈ユズ〉は豹と仲良くていいよね」

「あれでしょ?お姉ちゃんと豹がバイト先一緒だから」

「それだけで仲良いとか羨ましい〜」



そうかなぁ·····。



お姉ちゃんのおかげで豹くんと出会えたことは本当によかったって思ってる。



豹くんのことたくさん知れて豹くんのこと好きになった。



でも同時に、豹くんはお姉ちゃんが好きだって気づいてしまった。