「梓。
明日の朝は早いから………別々な。」

柊斗と出逢って6年。

なんと私は…………柊斗の彼女です!

半年前のあの日。

約束の6時を、受験の面接の時よりドキドキしながら待っていたら………

土埃と傷だらけの姿で、教室にやって来た。

「悪い。
シャワーしてくるから、後30分待ってて。」

そう言って、再び飴を渡して出ていった。

どれだけ飴を持ってるの??

彼のカバンの中が気になりながら、呆気に取られていると

彼と入れ替わりに美月が教室を覗いた。

「ラグビー、終わったよ。」

出禁になって直ぐ

お兄ちゃんを追っかけられるのは、学生の時しかないからと………

直談判して、マネージャーになった美月。

いつものように、部活終わりに待ち合わせていた教室にやって来た。

「あっ…………う………ん。
えっと………うんと………………
今日………一緒に帰れなくなった…………………。
………………ごめん。」

歯切れ悪く断る私に、キョトンとして

「だって、待っててくれたんでしょう??」と

意味が分からないと呟く。

なんと答えたら良いものかと悩んでいたら。

「マネジャー、ごめん。
今日からコイツ…………俺と帰る。
コーチにマネジャーの事頼んどいたから送ってもらって。
危ないから………
ちゃんと送ってもらえよ。」と

私にも、美月にも衝撃的な言葉を淡々と吐いて

「待たせた。」と言うと………

私の鞄も一緒に持って歩き始めた。