さて。
母体はさまざまなマイナートラブルに見舞われましたが、妊娠の経過(胎児の成長)は驚くほど順調でした。
月に一度、妊婦健診で母体と胎児の様子を診てもらうのですが、毎回「問題ありませんねー」の連続で。初めの頃は「心拍止まってるんじゃないか」とハラハラしながら通っていましたが、妊娠後期には毎回の太鼓判にすっかり安心しきって、やれ東北旅行だ、横浜中華街だ、有馬温泉だ、音楽フェスだと遊び回っていたわたくし。
義理のお母さんからは「葵さん、元気ねぇ、、、」となかば呆れたような声もいただきました。ははははは。

しかし。妊娠8ヶ月を迎えた頃、エコーでお腹をチェックしていた先生が「あら〜?」と疑問形で声を発しました。
ん?どうした?

「これは、逆子ちゃんですねぇ、、、(と、何往復かお腹をグリグリ)」

逆子?

逆子ってなに?
(いや分かるけど)

曰く、普通は妊娠後期になると、分娩に備えて、外に出やすいように、赤ちゃんの頭は下に行くそうな。足が母体のおへその位置に来るのが正常なわけね。
しかしうちの子は頭がおへそに、足が下腹部にあると。ほほう。

「でもまだ赤ちゃんが動く可能性もあるので、ギリギリまで様子を見ます。30週の時点で逆子のままだったら、普通分娩は出来ないので、帝王切開の手術予約を取りましょう。」と先生。

降って湧いた「帝王切開」というワードに頭が固まる葵。
お?つまり腹を切るって話???

うーーん。
そうか、手術かーーー。(ぐるぐる)

正直、合理的なことを最優先したい性格の私は、この時「お、ラッキー」と思ってしまったのでした。ちょこっとね。だって痛いのやだし。(帝王切開は帝王切開で術後の痛みが壮絶だったのだが)他力本願で出してもらえるなら、それはそれで良いんじゃないかと。

個人的に、出産という行為自体に一欠片も夢なんて持っちゃいなかったので、こだわりも無かったんですよね。母子ともに生き残れれば、それが一番。大事なのはそれだけ!と思って。
(だから病院で「バースプラン」(こういうお産がしたい、という希望表)ってのを書かされた時、ほんと困った。こだわりが皆無であったので)

一応、逆子は「骨盤位」と言って「正常ではない」状態に当たるので、「逆子ちゃんなんですよ〜。元に戻ってくれると良いんですけどねぇ〜」と周囲には困り顔で話していましたが、本当の本当のところは「このまま逆子ちゃんで良いわよ」などと思っていたのでした。

そんな母の心が通じたのでしょうか。
ついに娘は30週を過ぎても逆子のまま、母は無事に(?)手術予約へと漕ぎ着けたのでした。予定帝王切開ってすごいね。親が子供の誕生日を決められるんだから。(ある程度期間は限定されるけど)「じゃあ東雲さん、手術いつにします?」って、まるでランチの約束するみたいに気軽に聞いてくれた若い女医先生(笑)。こちらも軽いノリで「あ、じゃあ7月1日で!」とサッサカ決めてしまいました。自分の誕生日が7/31だから、何となく1日と31日でキリが良いかなーと。なんなんだこの明るいテンションは。いいのか、こんなんで。

でも身体にメスを入れるのも初めてだし、入院も手術も初めてだぜい。それはそれで緊張するなー。なんて、入院の準備をしながらのほほんと暮らしていた6月下旬。

事態は急展開を迎えるのです(笑)。

やっぱりね。
そうは問屋が卸さんよね。