あの月が丸くなるまで

「何言ってんの?」

「え? 今、お前告られてたんじゃないの?」

「そんなわけないでしょ。何聞いてたのよ」

「お前こそ、何言ってんだよ。デートの約束してただろう?」

「ご期待に沿えなくて申し訳ないけど、勘違いもいいとこだわ」

 すると、なぜか仁田はにやにやと笑いながら言った。

「まあ、そうだろうな。お前みたいな真面目ながり勉、蓮には似合わないしなあ」

 悪気はなさそうな言い方だったけど、無意識に渋面になる。


 確かに、私と上坂じゃ、あまりにも世界が違いすぎる。常に彼女はとっかえひっかえ、風紀ぎりぎりまで制服を着崩して、休日平日を問わず渋谷あたりでよく見かけるという噂を持つような男と、よりによって私が接点を持つとは思っていなかった。