あの月が丸くなるまで

 笑んで答えたら、上坂が真面目な顔で私を見返した。

「そうじゃなくて……男の部屋で朝まで過ごす意味、分かってる?」

「意味、って……なにが…………」

 一瞬、まぬけな顔をしてしまった後、ふいに気づいた。

 ……あ、ああああああ! そういうこと! 

 さっきの比ではないほどに頬が熱くなる。


 そっか。こんな時間に部屋に行くってことは……ただ、おしゃべりする、とか、お茶するとかだけじゃないよね。

 今、上坂の部屋に行ったら。今日の私のまま、明日帰ることはできない……ってこと、だよね。



 動揺する私を、上坂は、じ、と見下ろしている。

「どうする? 帰るなら、このまま送る」

 落ち着いた低い声。穏やかに見守るような瞳は、いつか見た、ホテルに簡単に誘うような軽い視線じゃなかった。

 上坂は、私に選ばせてくれている。

 私は……