あの月が丸くなるまで

「見に来る?」

「行ってもいいの?」

「もちろん」

「うん。行く」

 よかった。会えなかった3年分、話したいことがいっぱいあるし……このまま帰っちゃったら、上坂に会えたこと自体を夢だったって勘違いしそう。

 夢じゃないって実感が欲しいから、もう少し一緒にいたい。


 頬が緩んだ私をちらりと見て、上坂は小さく言った。

「先に言っとくけど……うち来たら、朝まで帰さないよ?」

「あ、時間なら大丈夫。私も今、一人暮らしだから」


 大学に入って2年は、実家から通ってた。けれど、実習や実験が増えるにしたがって帰宅時間が遅くなるのを家のみんなが心配して、ついに3年になる時に追い出されるように一人暮らしを始めた。2時間以上の通学時間がなくなったのは、想像以上に体が楽になった。電車で寝ちゃうこともしょっちゅうだったから、やっぱりしんどかったんだろうなあ、私。