あの月が丸くなるまで

「前から思ってたけど」

「なに」

 上坂は、私から視線を逸らして言った。その顔が、微かに赤らんでいる。

「美希って、なにげに甘え上手だよね」

「へ? まさか」

「ホント。……そういう顔されるとさあ、も、何でも言うこと聞いてやろうって思っちゃうし……可愛すぎて思いきり抱きつぶしたくなる」

 か、可愛いとか……! 

 頬が熱くなったまま私が黙っていると、上坂は私の手を握って低い声で言った。


「……よかったら、うち、来る?」

「上坂んち?」

「俺、今家を出て一人で暮らしてるんだ」

「ああ……どこに住んでいるの?」

 そういえば、卒業の時、家を離れるようなこと言っていたっけ。