あの月が丸くなるまで

『荷物、どうする?』

 今のやりとりを聞いただろうに、冴子は全く変わらない調子で言った。

 そういえば、バッグ置きっぱなしだったな。

「これからそっち戻るから……」

「小野さん、悪いけど持ってて。そのうち取りにいかせる」

 私の携帯を奪った上坂が、勝手に話し始める。

「ちょっと、何を……」

『了解。……上坂』

「はい?」

『美希、いじらしいくらいに、あんたしか見てなかった。泣かしたらぶっ殺す』

「……わかった。ありがとう」

 なにやら話をつけると、上坂は、ぴ、と通話を終了する。