あの月が丸くなるまで

『梶原? お前、どこいってんだよ。おい、これからカラオケ行くぞ!』

「ごめんね、仁田」

『あ?』

「私、好きな人がいるの。だから、仁田とはつきあえない」

 ふわり、と上坂が背中から腰に手を回して私を抱きしめた。

『……そっか。気まずいこと言わせちまって、悪かったな。けどこれですっきりした。俺、高校の頃から、お前のこと好きだったから』

「え?! そうなの?!」

『今でも忘れられなかったから、あわよくば……って思ってたけど、ま、こればっかりはしゃーないわな』

 混乱する私に、じゃあな、とあっさり言って、仁田は冴子に代わった。