あの月が丸くなるまで

「じゃあ……」

「すげえ仏頂面だったけどな。好きにしろ、って。母さんは喜んでくれた。俺、これで名実ともに、メイクアップアーティストとしてやっていける」


 お父さんに反対され、希望の道を一時はあきらめていた上坂。けれど、最後には、反対されても、自分の夢を選ぶことを決めて、高校を卒業した。

そのあとのことは知らなかったけれど、ご両親に認めてもらうことをあきらめていなかったんだ。

 よかった……本当に、よかった……


「美希……?」

 は、としたように上坂が目を丸くした。

 頬を流れていた涙に気づいた私は、慌てて上坂に背を向けてそれをぬぐう。