あの月が丸くなるまで

「今ちょうど、そのレディコレに出るための、ヘアメイクの選抜コンテストってのをあちこちのブランドでやってるんだ。俺も先週、本命のブランドを受けたとこ」

 私は、足を止めて上坂を見上げた。先週終わって今ここにいるってことは……結果、は?

 じ、と上坂を見つめると、上坂は照れたように笑った。



「今日、合格の連絡をもらった。俺、レディコレに参加することになった」

「すごいじゃない! おめでとう!」

「ありがと。……これが条件だったんだ」

「条件?」

「レディコレに、コネはきかない。本当に実力でしか、受かることのない厳しいショーなんだ。だから、レディコレに参加することが出来たらメイクアップアーティストになることを認めてくれる、って、親父と約束してた」